食べること生きること

めざせ! 実年齢より若いカラダ 老化を防ぐ「抗酸化」入門 体の「サビ」を、食生活で磨く!~【03】抗酸化のための食事と生活習慣

抗酸化のための食事と生活習慣サビない体をつくる、4つの原則

老化の大きな原因になる体のサビは、食べるものや生活習慣を 見直すことで、
かなりの部分を 防ぐことができます。
抗酸化のための4つの原則を知り、体をサビから守りましょう。

その1 体内を浄化する

サビをつくらない基本は、原因を体に入れないこと

よく「健康のためには○○を食べましょう」といわれます。もちろん、健康にいい栄養素や食材があるのは事実ですが、これだけを食べれば劇的に体が変化するものなどはありません。じつは、抗酸化のために重要なのは「体にいいもの」を食べることではなく、「体に悪いもの」をとり入れないことなのです。

体のサビを防ぐために、避けたいものの代表例が食品添加物や残留農薬です。これらが多く使われている食品はできるだけ避け、代わりに無農薬や有機栽培の野菜などを積極的にとり入れるようにしましょう。

また食べものだけでなく、生活環境でもサビの原因をとり除く努力をしてください。長時間の日焼け、喫煙、大量の飲酒、激しい運動といった行動や習慣を見直すだけで、サビの原因をずいぶん遠ざけることができます

サビたものは出す!水分や食物繊維を摂ろう

サビの原因を体に入れないように心がけていても、やはり酸化物質は発生してしまいます。次に大切なことは、体内にできたサビは、どんどん外に出すということです。

体のサビなどの有害物質を排出するには、いくつかの方法があります。まず汗や尿などの水分として排出する方法。そのためには水分をきちんと摂って、尿意を我慢しないことが大切です。また軽い運動などで、できるだけ汗をかくようにしましょう。

もうひとつの方法は、便として体の外に出すこと。便秘で、腸内に老廃物や有害物質を溜めこんでいると、体をサビさせる大きな原因になってしまいます。便秘解消に有効なのが、食物繊維と発酵食品です。バランスのよい食生活を心がけ、食物繊維の多い野菜や海藻類をたっぷり摂り、ヨーグルトや納豆といった発酵食品で腸内環境を整えてください。また、快適な便通のためには水分も必要ですし、よく噛んで食べることも大切です。噛むことで唾液が分泌され、それが腸内の善玉菌を増やすことに役立つのです。

その2 抗酸化物質を摂る

抗酸化物質たっぷりの、カラフルな野菜を食べる

金属のサビ止めのように、体の酸化を防いでくれるサビ止めの役割を持つものがあります。それが、抗酸化物質と呼ばれる栄養素や食材です。代表的なものはビタミンAやビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、アルファリポ酸などです。これらが含まれている食材といえば、やはり野菜。とりわけ緑黄色野菜などのカラフルな野菜を摂ることをおすすめします。

色鮮やかな食材には、ほかにもすぐれた抗酸化物質を持つものがたくさんあります。トマトのリコピン、緑茶のカテキン、ナスや紫イモのアントシアニン、ぶどう(赤ワイン)や春菊のポリフェノールなどは、その代表選手です。こうした抗酸化物質は野菜だけでなく、海藻、豆類、穀類にも含まれているので、基本は毎日の食事で上手にとり入れていきましょう。

また果物はぜひ食べてほしい、すぐれた抗酸化食品です。ビタミンやミネラルがたっぷりで、食物繊維なども含まれています。デザートを食べるなら、甘い菓子よりもなるべく果物を選びましょう。


抗酸化物質を含む食材

その3 食べ方に注意する

ゆっくり、よく噛んでスローフードの食卓に

「なにを食べるか」と同時に、「どう食べるか」も大切になってきます。

たとえば抗酸化物質や食物繊維を多く含むという点では、白米より雑穀や玄米のほうがすぐれています。しかし、ずっと白米を食べ続けてきた人が急に雑穀や玄米にしても、それに合った食べ方に変えなければ、雑穀や玄米は消化しにくいのです。雑穀や玄米はできるだけゆっくり、よく噛んで食べることが大切です。

抗酸化のための基本は、スローフードな食卓です。ここでいう「スローフード」とは、なるべく食品添加物などの多い食品を避け、できるだけ料理を手づくりするということはもちろん、よく噛んで時間をかけて食べるといった、食べ方も含んでいます。食べる順序も、最初に野菜や海藻類→次に肉や魚類→そしてごはん・パン類と工夫すると、効果的に抗酸化物質を摂ることができます。


その4抗酸化力をアップさせる

適度な運動をすることで、抗酸化能力を高める

最後に心がけたいのは、適度な運動です。体を酷使する激しい運動は、酸化物質を大量発生させてしまいますが、体に負担をかけない適度な運動は、人間が本来もっている抗酸化能力を高めてくれます。適度な有酸素運動をすると少量の酸化物質が発生しますが、これが体内の抗酸化ホルモンを活性化させ、体のサビを予防する手助けになっているのです。

運動は嫌いという人も、ぜひ軽い運動をしてください。もっとも手軽にできる有酸素運動は、歩くこと。ふだんあまり体を動かさない人は、定期的に歩くことから始めましょう。まずは一駅分歩いてみる、階段を使うなど、日常生活の中でも歩く工夫はいろいろとできるはずです。

監修 同志社大学院 生命医科学研究科 アンチエイジングリサーチセンター教授 米井 嘉一さん

1958年、東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。日本鋼管病院内科医長・人間ドック脳 ドック室部長を経て現職。日本抗加齢医学会の設立に尽力し、理事を務める。米国抗加齢 医学会の認定医であり、世界アンチエイジング医学会のメンバーとして海外の情報にも詳 しい。著書に「いつも元気な人の100の習慣」(KKベストセラーズ)、「美しさ」と「若さ」を保つアンチエイジングのすすめ(青春出版社)などがある。