人間は、自分の命を養うために他の生き物を食べます。食事の前に手を合わせ「いただきます」と祈るのは、そういう生き物への感謝の念が込められているそうです。ところが、美食やグルメがもてはやされた頃から、私たち日本人は快楽のために食べるようになりました。舌においしいから、外国の珍しい食品だから、そういう理由で目新しい食べ物を求め始めたのです。農業や漁業など日本の第一次産業がたちゆかなくなったり、食べ物の伝統的な製法が失われつつあることは、こうした食生活の変化と無関係ではありません。
と同時に、「食」の変化が原因ではないかと思われる健康問題が社会全体で表面化してきています。子どもたちの体格は立派になったのに、体力が落ち気力が続かない。働き盛りの人の多くが、健康診断で何らかの問題を指摘される。こういう日本は、本当に豊かで幸せな国なのでしょうか。
わたしたちやずやは、生きるために食べるという「食」の持つ本来の意義を、もう一度取り戻したいと思いました。昔からあった伝統食を見直し、そのよさを活かしながら、現代の暮らしに合った食のあり方を提案してきたつもりです。それらは決してブームになるような美味・珍味の類いではありません。昔の人がそうしたように、大人も子どももごく普通に食べ続けることで、体を健やかに保つことのできる生きた食べ物をお届けしたいと願っています。やずやが生きた食べ物をまっすぐお客様にお届けしたいのは、そんな願いを込めているからです。
健康食品を愛用される方がとても増えてきました。以前なら健康食品は、年齢の高い方たちの食べ物だったのに、いまは若い人たちにも大いに食べられています。これはもう流行と言ってもいいくらいです。しかし、私たちやずやは、健康食品を販売する会社として、このブームが早くおさまってほしいと思っています。というのも、健康食品に対して間違った評価がなされ、まるですべての解決策かのように勘違いされていることが不安でならないからです。
そもそも健康とは、食べ物とは、いったい何でしょう。人間の体にはもともと体を健康に保つための力が備わっています。過不足なくきちんと食べて、適度に体を動かし、必要に応じて休養を取ることで、自然に健やかな体を維持することができるようになっています。いまほど簡単に病院にかかれなかった時代には、疲れたらゆっくり休み、体にいいものを食べることが唯一の予防法でした。その頃の食事の知恵から生まれたのがやずやの商品です。
ところがいま健康食品の中には、この不調にはこの栄養素が良い、あの悩みにはこのサプリメントが良いというような情報を伝えているものがあるようです。私たちには、三度の食事をきちんととらずに、手のひら一杯のサプリメントを飲み込む生活が健康的だとはどうしても信じられません。たしかに医学の世界でも、栄養学を治療に活かし始めています。だからといって、すべて健康食品で解決するわけはないのです。
やずやは、昔から伝わる滋養食や伝統食の知恵をいまに活かす食品こそ、本当の意味での健康食品だと思っています。だから健康な食生活を送っている方たちには、やずやの商品は必要ないのかもしれません。でも、忙しい日々を過ごす現代人にとって、体にいいものを食べたいけれどなかなか食べられないというのも現実です。そういう方にこそ、やずやの商品をおすすめしたいと思っています。
日本人の平均寿命は、2010年、男性79.6歳、女性86.3歳で、世界一の長寿国です。ところがお年寄りのみなさんにお話をうかがうと「手放しでは喜べない」と言われます。「死ぬまで健康に過ごせる自信がない」とおっしゃるのです。介護が必要になったら、寝たきりになったら、そんな不安を抱えながら過ごしていては、決して幸せな老後とはいえないでしょう。
最近、たんなる寿命の長さだけではなく、どうすれば少しでも長く充実した人生を送れるかに関心が集まっています。つまり、食事や身支度など自分のことは自分でできる、他人の助けがなくても独立して生活できる「健康寿命」という考え方です。WHO(世界保健機関)が平成16年に発表したいわゆる「健康寿命」の数値は、日本人男性72.3歳、女性77.7歳でした。ということは、男性で約6年間、女性で約8年間は、病気やけがで不自由な生活を送ったり、寝たきりになったりすると予測されているのです。お年寄りの心配は、取り越し苦労ではなかったということです。この「健康寿命」をできるだけ伸ばすためには、若いうちから生活習慣を見直し、体にいい食事を積極的にとって、自分の健康は自分で守るという考え方が大切だと言われています。
私たちやずやは、誰も避けては通れないお年寄りの健康の問題と、じっくり向き合いたいと考えています。昔ながらの雑穀を食べ、地元で採れた野菜中心のおかずをとり、魚介類や卵をご馳走と喜んだ時代の食生活の知恵を、もう一度見直して現代に活かすこと。一人暮らしでもおっくうにならずに、体にいい食べ物を手軽にとっていただけるよう工夫すること。元気に老いることのできる食べ物、それをお届けするのがやずやの仕事だと思っています。
いま、日本では医療制度を見直す動きがあります。とくに社会の高齢化にともない老人医療費が毎年8%前後の割合で増加していることを問題にしているようです。たしかに老人1人当たりの年間医療費は、それ以外の人の約5倍にのぼっています。そのため、これまでのしくみを改め、70歳以上の人も1割を負担し、夫婦の年収が630万円以上のお年寄りは2割を負担しなくてはならないかもしれません。つまり年をとっても、気軽に医者にかかれないということです。
今後は年金もあまりあてにはできなくなるようです。とくにいまの働き盛りの人たちが年金を受給する年齢になる頃は、制度を支える子どもの人口が少なくなるため、十分な年金を手にすることができないのではないかと心配されています。つまりこれからは、自分の面倒は自分でみるようにしなくては、おちおち長生きもできないということです。
でも、ほんの50年前までは、お年寄りといえども病院や年金などあてにせず、自分でしっかり働いて暮らしていました。農業や漁業に従事していた人は、サラリーマンのような定年はありません。体が動くかぎり田畑や海を相手に仕事を続け、それがつらくなったら、家事や子守りを引き受けて家族を支えていました。生きている限り元気に働き、家族に感謝されながら、眠るように息を引き取るという方が多かったような気がします。それはきっと幸せな人生だったでしょう。
そういうひと昔前のお年寄りのように、年をとっても元気に働くことが、私たちの望みです。そのためにも働ける体を食事からつくることが大切なのではないでしょうか。体にいい食べ物を選んでとる。さっぱりした食事ばかりではなく、タンパク質やビタミン類もバランスよく食べる。それが難しいときには、健康に配慮した食べ物を上手に役立てる。そんな賢い食の知恵を持つお年寄りになることが、これからの時代を生き抜くためには必要なのではないでしょうか。
健康的な食べ物といえば、誰もが野菜を思い浮かべます。日本人の食事が高脂肪・高カロリーの傾向を強め、外食や加工食品の利用が増えるにつれ、野菜がとりにくくなっています。それだけに野菜を中心とした食事が見直されるようになりました。
ところが、昔に比べて野菜そのものの栄養価が下がってきている事実はあまり知られていません。たとえばほうれん草。40年以上前ならカルシウムが 98mg、ビタミンCが100mg(いずれも可食部100g中)もあったのに、約20年前にはそれぞれが、およそ半分に減ってしまいました。1束でとれた栄養が2束食べなくてはとれない計算です。20年後の現在、野菜からどれほどの栄養が失われているかを考えると、これは深刻な問題といわざるを得ません。
その原因には、農薬や化学肥料、品種改良やハウス栽培、海外からの輸入などさまざまな要因があげられるでしょう。季節を問わず規格に合った野菜を大量に揃えて売るという流通の大型化が、結果的に野菜の栄養価の低下をもたらしたと指摘する人もいます。つくりやすさや売りやすさとひきかえに、食品としてもっとも大切な栄養が失われているとしたら、簡単に見過ごせない問題です。時代の流れだから仕方がないと手をこまねいているわけにはいきません。
本来の栄養をきちんと持ったまっとうな野菜を食べられないとしたら、どうすればいいのか。私たちやずやは、少しでも食生活改善の手助けになればと考え、「養生青汁」などの商品をつくってきました。野菜が健康なら必要なかったものです。でも、健やかな野菜をとりにくい現代人にとっては、必要不可欠な商品といえるのかもしれません。
最近はどこを見ても健康ブームです。書店をのぞいても、健康法を特集した本や雑誌が書棚いっぱいに並んでいます。ところが内容をよく見てみると、食べにくい食品を毎日大量に食べるというような実践しにくいものもあります。そういうことができていれば、もともと体調不良などの問題は起こらなかったのにと思いたくなるほどです。どれほど体にいい食品であったとしても、毎日簡単に食べ続けられない健康法では絵に描いた餅で終わってしまいます。
だからといって自分なりに勉強しようと思っても、やはり医学や栄養学は理解するのが難しくて、おのずと限界があります。素人が勝手な思い込みでオリジナルの健康法を続けるのは危険だという専門家の指摘もあります。
私たちやずやは、健康に役立つ知恵をお客様にお伝えするときには、生活の中で実践できることを前提にしたいと考えています。医学や栄養学の専門家にお話をうかがうときは、できるだけわかりやすく具体的に説明していただくようにしています。私たち自身が理解して納得することができない理論を、お客様にご紹介することはできません。また、お客様からうかがったお話や健康法も、これはと思うものは積極的にご紹介しようと思います。難しい理屈より、生きた知恵が役立つこともあるからです。こうして学んだ知識や知恵は、定期的に発行している情報誌「食べること生きること」でお客様にお伝えしています。どれも特別なことではなく、いまの生活を見直したり、食事に少し工夫したりして、無理なく実践できるような内容ばかりです。優等生しかできない方法では、やっぱり長続きしないと思います。
食べることは生きること。やずやは、お客様に健やかな人生を送っていただくために、これからも生活に取り入れやすい体にいい食べ物や食べ方をご紹介していきたいと思っています。